オメガ3脂肪酸について、まとめてみました。

まずは、脂肪酸について

脂肪酸の種類

油脂には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。さらに鎖(炭素)の数や二重結合の数や位置によってさまざまな脂肪酸に分けられます。

飽和脂肪酸

短鎖脂肪酸
・酢酸
・酪酸
・カプロン酸
中鎖脂肪酸 エネルギー源
・カプリル酸・・・ココナッツオイル
・カプリン酸・・・ココナッツオイル
・ラウリン酸・・・ココナッツオイル

長鎖脂肪酸
 エネルギー源
・ミリスチン酸・・・ココナッツオイル、パーム核油
・パルミチン酸・・・パーム油、ラード、牛脂、バター
・ステアリン酸・・・豚肉、牛肉、牛脂、ラード

不飽和脂肪酸

長鎖脂肪酸

●一価不飽和脂肪酸 
エネルギー源。身体でもつくることができる。

オメガ9
・オレイン酸 ・・・オリーブオイル

多価不飽和脂肪酸 生体調整。身体でつくることができない。食べ物から食べる必要がある必須脂肪酸。

オメガ6 → 摂取過多
・リノール酸 ・・・サラダ油など
・γ-リノレン酸 ・・・月見草油、ボラージオイル
・アラキドン酸

オメガ3 
→ 圧倒的摂取不足
・α-リノレン酸 ・・・えごま油、亜麻仁油、インカインチオイル
・EPA ・・・青魚
・DHA ・・・青魚

脂質の機能は・・・

・体内のエネルギー源
・脳や細胞膜の構成物質
・脳を正しく機能させる
・皮膚や細胞の保護
・ホルモンの材料になる
・脂溶性ビタミンの吸収を良くする
・エイコサノイドなど生理活性物質の原料となる
・他

脳の65%は脂質でできている

脳の(水分以外の有形成分の内) 65%が脂質です。
残りの35%はタンパク質です。
オメガ3は、脳に集まります。

・脳組織の65%は脂質(脂肪酸)です。
 ということは↓
・脂肪酸の組成が脳機能を決める。
 ということは↓
・脂肪酸の組成が、性格を決める。
 ということは↓
・食生活が性格を変える。
 ということができますね。

「健全な脳機能(心)を維持するために、日頃から意識して良質な脂肪酸(特にオメガ3系)を取り入れることが大切」

 

細胞膜が固いか?やわらかいか?

わたしたちの身体は数十兆個の細胞からできています。
この細胞のひとつひとつを大切に包む膜、細胞膜をつくる材料が脂質です。

細胞膜が固いか?柔らかいか?
それによって細胞膜の働きが変わる、そうです。

オメガ3が入っていたら、細胞膜がやわらかくなるそうです。
脳や細胞の中身は変わらなくても、膜で変わるそうです。

PFCバランス

PFCバランスとは、タンパク質、脂質、炭水化物の3大栄養素のエネルギー比率のバランスを示したものです。

P ・・・ タンパク質 ・・・ 13~20%
F ・・・ 脂質    ・・・ 20~30%
C ・・・ 炭水化物  ・・・ 50~65%

この比率で考えると、1日の必要脂質量は、女性で約40~50g程度と考えられます。

 

脂質は、どの脂質を食べるか、自ら選択することができる。

3大栄養素は、炭水化物、タンパク質、脂質。
この中で脂質には、飽和脂肪酸、オメガ9、オメガ6、オメガ3などという脂肪酸の種類があります。
どの油を食べるかを自らの意志で選択することができます。
脂質によって役割が違いますから、どの脂質を食べるかで、健康面でも違いが生まれます。

 

オメガ3系の脂肪酸について

αリノレン酸(オメガ3)について

脂質の中でも注目なのがオメガ3脂肪酸です。いろいろなオメガ3の効能が知られています。

●α-リノレン酸には、血管をやわらかくするパワーがある。
理由は、食べると体内で、EPA DHAに変換されるから。
その働きによって、血管がやわらかくなる。

大さじ1杯 12週間で血圧が下がったという論文がある。
血管が固いと血圧が上がる。
やわらかくなることで血圧が下がる。
血管が固いと心筋梗塞や脳梗塞の原因になる。
だから、その予防が期待できる。
α-リノレン酸は、血管を老けさせない。

●サンフランシスコの医療センターの調査
α-リノレン酸摂取量が0.06%増えると、脳卒中のリスクが28%減る。
α-リノレン酸は、脳を老けさせない。

●食べ方
日中の活動によって消費されやすいから、αリノレン酸は朝食べるのを推奨。
αリノレン酸は、亜鉛が豊富な食品と一緒に食べるとより血管に良い。
α-リノレン酸が、EPA DHAに効率よく変換されるためには 亜鉛、マグネシウム、ビタミンBが必要。

●αリノレン酸と一緒に食べる事で、認知症予防が期待される食材は、ビタミンB群(B6)
αリノレン酸を日頃食べている人が、ビタミンB群をとると、認知症機能の低下を遅らせることができる。セットで食べると効果的。
脳を活性化する→αリノレン酸と雑穀と卵(タンパク質)
血管をしなやかに→αリノレン酸と納豆(ナットウキナーゼ)

●オメガ6は、血液を凝固させたり、体内の炎症を促進したりする働きがあり、オメガ3は、血液を固まりにくくしたり、炎症を抑えたりする働きがあります。
オメガ6・・・血液凝固、炎症促進
オメガ3・・・血液サラサラ、炎症を抑える

オメガ6は過剰摂取

オメガ6は過剰摂取気味と言われます。

農林水産省のHPに脂質による健康影響と言うページがあります。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/fat_eikyou.html

このページによりますと、オメガ6系脂肪酸の摂取目安量は、

男性で、1日 8~11g程度。
女性で、1日 7~9g程度です。

では、食品に含まれる脂質量の一例を書きます。

カレーライス ・・・ 20g
牛丼     ・・・ 25g
チャーハン  ・・・ 35g
ハンバーガー ・・・ 20g
カップ焼きそば・・・ 28g

お菓子にも、驚くべき量が・・・

歌舞伎揚げ(1枚) ・・・ 3.5g
ポテトチップス うすしお(1袋) ・・・ 22g
チョコレート(1枚) ・・・ 17.5g

これらは、「見えない油」と言われています。
意識することなく、加工食品の中の油を食べているのです。
しかも、これらの加工食品に含まれる脂質は、多くがオメガ6系リノール酸です。
普段使われることが多い「サラダ油」もリノール酸の比率が高いです。
オメガ6は、欠乏症の報告は皆無だそうです。
だから、オメガ6系のリノール酸は摂取過剰と言われます。
意識的に減らした方が良い脂質と言われています。

オメガ3は摂取不足

それに対して、オメガ3は、明らかに摂取不足と言われています。
1日の摂取目標量が、2.1g以上です。
しかし、オメガ3が豊富に含まれる商品は、えごま油、アマニ油、インカインチオイル、青魚など限られた食品だけです。

オメガ3と、オメガ6は競合する

さらには、オメガ3と、オメガ6は競合するのです。
必須脂肪酸のオメガ6とオメガ3は、体内で対抗するように働きます。
このふたつの脂肪酸は同じ酵素で反応するため、オメガ6を摂取過剰で、オメガ3が摂取不足の場合、オメガ3の効果が相殺されてしまうのです。
ですから、オメガ6と、オメガ3のバランスが大切。
お互いバランスをとって体内の恒常性を保っています。
バランスが崩れると、恒常性を維持できなくなります。

オメガ3とオメガ6のバランス

オメガ3とオメガ6の比率として、厚生労働省が、推奨しているのは、

オメガ3:オメガ6=1:4

しかし、油を研究している専門家が推奨しているのは、

オメガ3:オメガ6=1:2

ただし、これは不可能に近い数字であると考えられているそうです。

月に45~60回 お魚を食べる事で、

オメガ3:オメガ6=1:3

程度になるそうです。
これは、なかなかハードルが高いです。
魚を積極的に食べると同時に、αリノレン酸を多く含む「えごま油」「亜麻仁油」「インカインチオイル」などを食べる事が良いと、油の専門家は推奨しています。

オメガ3は、一生食べ続けるべき脂肪酸。

オメガ3の脂肪酸は、非常に重要性な脂肪酸です。
食べ物から食べる必要がある必須脂肪酸です。
しかし、食品の種類が少ないため決定的に不足しがちです。
オメガ3が不足すると、摂取過多なオメ6とのバランスが崩れ、健康状態に問題がでてくる可能性があります。
オメガ3を摂取するためには、魚を食べる事と、αリノレン酸を含む食品を食べる事です。
αリノレン酸を含む食品の代表格が「えごま油」「アマニ油」「インカインチオイル」です。
テレビなどでも、その効能を紹介されることが多くなっていますが、毎日食べる必要がある食品と言えると思います。

 

  • 油脂には、積極的に摂るべき油と避けるべき油がある。
  • 脂質には、飽和脂肪酸とオメガ9、6、3がある。
  • 必須脂肪酸は、オメガ6と、オメガ3。食事から、食べる必要がある。
  • オメガ6系脂肪酸は、過剰摂取気味。
  • 加工食品の中には、オメガ6が多く使われている。
  • オメガ3系脂肪酸は、摂取不足。
  • オメガ3と、オメガ6は競合する。
  • オメガ3:オメガ6=1:2 に近づけるために、積極的に魚を食べる。えごま油、インカインチオイルなどを毎日食べる。

※参考:守口徹先生セミナー
麻布大学 生命・環境科学部 食品生命科学科教授
日本脂質栄養学会 副理事長
国際脂質脂肪酸学会理事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です