福山黒酢

米酢の造り方

一般的な米酢は、まず日本酒をつくることろから始まります。
いわゆる日本酒造りと同じ工程を経て、日本酒がつくられます。
それを、別の容器に移し替え、酢酸菌による酢酸発酵によって、アルコールが酢酸に変換されて、酢になります。昔ながらの静置発酵という手法で、数か月以上の時間をかけてつくられるのです。
日本酒をつくる工程と、酢をつくる工程と2つの工程が必要なのです。
ところが、黒酢は他のお酢とは違う、独特な工程を経て、つくられます。
この工程を把握することで、黒酢に対するる理解を深めることができます。
また、黒酢の違いを把握することができると思います。

福山黒酢の造り方

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屋外に並べた壺を使って仕込み発酵するという独特な製法によってつくられるのが福山黒酢。
鹿児島県福山町は、1800年代初期には生産が開始された伝統的製法による黒酢の発祥の地。
一年を通じて温暖で寒暖の差が小さく、また、薩摩焼の壺が身近に得られる土地柄は黒酢づくりに最適な土地だそうです。春や秋になると,野天に整然と並べられた陶器の壺に蒸し米と米麹と清浄な地下水を仕込む風景がみられます。

福山酢の製法は、壺の中で、糖化、アルコール醗酵、酢酸醗酵の三つの工程が自然に進行する製法であり、世界的に見ても珍しいものだそうです。
仕込みから6ケ月以上の醗酵、さらに6ケ月以上の熟成を経て製品になります。

発酵に6か月以上、熟成に6か月以上の長期熟成から生まれる特有の香りとまろやかな酸味。
鹿児島の豊かな太陽の光を浴びた壺の中では、太陽の力をかりて発酵がゆっくりと進んでいきます。
1年を越える長い時間をかけて大切に育てられ、熟成されたのが「福山黒酢」です。

黒酢の製法

●静置発酵・・・約6か月
・糖化発酵
・乳酸発酵
・アルコール発酵
・酢酸発酵

●熟成・・・1年以上

 

福山黒酢の味わいの秘密

黒酢中にはピログルタミン酸が60mg/100ml前後含まれるため、濃厚な酸味となります。
また乳酸を約0.2%含んでおり、酸味に清涼感を与え、残味がさっぱりとしたものになります。

旨み成分としては、アミノ酸やペプチドなどがあり、黒酢中のアミノ酸含有量は高いとされます。
比較する商品にもよりますが、一般の米酢の5倍のアミノ酸が含まれるという説もあります。

これらの成分が多い理由は、一般の米酢に比べて、使用する米の量が多いこと、米の精米歩合が高いこと、醗酵・熟成期間が長いことが原因と考えられています。米の使用量は、一般の米酢に比べて約5倍です。

黒酢の成分

●アミノ酸・・・約8%
グルタミン酸、ロイシン、アスパラギン酸、アラニン、バリン、セリン、フェニルアラニン、プロリン、グリシン、スレオニンなど

●有機酸・・・4.2%以上
酢酸、乳酸、クエン酸、など

●ミネラル
マグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉄、マンガン

●微量成分
ビタミンB1、B2、微生物代謝産物

 

●福山酢醸造 玄米黒酢
https://www.kodawari-lab.com/item/f-kurozu.html

 

 

参考出典文献
※農林水産省 地理的表示保護制度 鹿児島壺造り黒酢
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/7.html
※「日本の伝統発酵の科学」(中島春紫:講談社)
※第6回日本黒酢研究会「黒酢に含まれる自然免疫活性化物質の構造」(橋本雅仁:鹿児島大学)